大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和29(あ)1250 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人石動丸源六の上告趣意第一点の所論は憲法第三七条第一項違反を主張する

けれども、同条項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」とは偏頗や不公平のおそれの

ない組織と構成をもつた裁判所による裁判を意味するものであつて、個々の事件に

つきその内容実質が具体的に公正妥当なる裁判を指すのではないことは当裁判所大

法廷の判例とするところであるから(昭和二二年(れ)第四八号、同二三年五月二

六日大法廷判決、判例集二巻五号五一一頁)、論旨は理由がない。

同第二点の所論は憲法第三八条第二項違反を言ふけれども、被告人が強制に依る

自白であると述べて居るだけでは強制事実を認めることが出来ないものであること

は論旨が引用して居る当裁判所大法廷の判例に示されて居る通りであり、記録を調

べても、被告人の検察官に対する本件自白が其の強制に依るものと認むべき証跡は

ないから、論旨は前提たる事実を欠くものであつて、採用し難い。

同第三点の所論は、事実誤認、量刑不当の主張に帰し、上告適法の理由に当らな

い。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三〇年二月一〇日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 入 江 俊 郎

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